成立期間

公共料金の未払い・滞納家賃の時効について

公共料金 時効

公共料金(電気・ガス・水道)の未払い・滞納に関する時効

公共料金(電気・ガス・水道)にも時効があります。

消滅時効の成立期間を経過していれば、時効の援用をすることで公共料金(電気・ガス・水道)の滞納分、および支払い義務は消失します。

しかし、時効の援用をしなければ請求は続くことになります。

たとえ、引越しをして住所が変わったとしても、公共料金の滞納分を返済するよう請求が来ることもあります。


そのため、消滅時効の成立期間が経過している場合は、消滅時効の援用を行うようにしましょう。

相手に時効援用を行う旨を通知しておけば、その後は支払い義務はなくなり、請求が来ることもなくなります。

借金の時効について相談する

各公共料金の消滅時効の成立期間は以下の通りです。


公共料金の消滅時効期間

公共料金成立期間法律
電気料金支払期日の翌日から2年民法 第173条
ガス料金支払期日の翌日から2年民法 第173条
水道料金支払期日の翌日から2年民法 第173条
下水道料金支払期日の翌日から5年地方自治法第236条

注意しないといけないポイントとしては、水道料金と下水道料金の時効成立期間が異なる点です。

水道水料金の消滅時効期間は2年間ですが、下水道料金は異なります。

下水道使用料の消滅時効期間は、地方自治法236条1項の「金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、5年間これを行なわないときは、時効により消滅する。」に該当します。


そのため、下水道使用料の消滅時効の成立期間は、支払期日の翌日から5年間となります。


また、公営住宅の家賃についても、自治法上の債権として、時効期間は5年であるとされています。


現在は、2年もしくは5年とバラつきがある公共料金の時効成立期間ですが、民法改正により、2018年をめどに時効成立期間は、一律5年に統一される見通しです。

踏み倒し目的での時効援用は難しい

公共料金にも時効はあり、時効の援用を行なえば払わない事も可能ですが、実際に水道、ガス、電気を使わないまま2年や5年を過ごすというのはおそらく不可能です。

公共料金の時効援用を行えるか?という相談をする人の大半は、引越しの際に手続きの不備で滞納してしまったという状況が多いようです。

同じ住居に住みながら公共料金を踏み倒すという目的での時効というのはあまり現実的ではないでしょう

公共料金の滞納は信用情報に影響ある?

公共料金の滞納をする事で信用情報に事故情報として記録されてしまい、ローンの審査に影響が出る?
そんな疑問を持った人もいますが、公共料金の会社は信用情報機関に所属していないので、公共料金の滞納でブラックになる事はありません。

信用情報はクレジットカードやキャッシングの借入に関する情報なので、もしも公共料金をクレジットカードで支払っている場合は話が変わってきます。

この場合はクレジットカードの支払いを延滞している事に繋がるので、事故情報が記録されてしまう事があるので注意しましょう

120年ぶりに民法改正、時効は原則5年に統一

先月、法制審議会により、民法の個人・会社間の契約を定めた債権法を見直す改正案が固まりました。

政府は、3月下旬にも民法改正案を国会に提出し、早期成立を目指す見込みです。

これまで、債権の時効は、業種ごとに細かく区分されていましたが、原則一律5年とすることで事業者の不公平感をなくすことが狙いだとされています。

消費者金融やローンなどの商事債権は、以前より時効期間は5年だったため、大きな変化はありません。


ただし、貸し手、借り手双方ともに商人でない場合の民事債権(信用金庫を含む)の時効期間については10年でしたが、これは5年に短縮されることになります。


例:CD・DVDレンタル料やタクシー運賃、ホテルの宿泊費、飲み屋のツケは1年。学習塾や習い事、弁護士費用は2年。病院の診療費や交通事故の損害賠償権は3年。など


その他の改正要綱案の要旨

また、今回の改正要綱案には、相手の利益を一方的に害する内容は無効、契約後の変更条件と開示義務を明記するなどの約款の規定が新設されます。

敷金については、負担する修繕費は住人による損傷が生じた場合などに限定し、経年変化は対象外となります。

また、法定利率に関しては、損害賠償金の支払いが遅れた場合などの利率を年5%から年3%に引き下げる見通しです。


その他、中間利息意思能力瑕疵(かし)担保責任などの項目も見直される見通しです。

時効成立までの期間

時効成立までの期間

銀行、消費者金融などの債権

銀行、消費者金融などの債権は、商事債権のため消滅時効の成立までは5年です。

これは、銀行、消費者金融などが営利を目的としているため商人に該当するからです。


信用金庫・信用組合などの債権

しかし、信用金庫・信用組合・農協・商工中金・労働金庫・信用保証協会などは、商人に該当しないと考えられるため、これらの債権は民法上の一般的な債権として扱われます。

最高裁昭和63年10月18日の判決で、「信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」と判示されており、信用金庫は、非営利の組織ではない(商人ではない)とされています。


そのため、信用金庫が貸主である場合の個人への貸金については、消滅時効の成立までの期間は10年です。

ただし、信用金庫が貸主であっても、貸付先が商人(株式会社や個人事業主)である場合は、商行為によって生じた債権であるため商事債権となり、時効期間は5年です。



借主,貸主のいずれかが商人に該当する商事時効5年
借主,貸主のいずれも商人に該当しない 民法上の時効 10年