借金には『時効』が存在し、一定期間が過ぎると借金の時効が成立して『時効の援用』が可能になります。
借金を支払う義務が無くなる『消滅時効の援用』をするためには、貸金業者に『時効の援用をする』という意思を伝えなくてはいけません。
そこで疑問なのが、貸金業者に『時効の援用をする』という意思を表明するには、電話で伝える事も可能なのでしょうか?
時効の完成を待っているところで催告書が届いてしまった…これは業者へ応じたほうが良いの?そんな悩みには業者に連絡する前に法律のプロへ相談するのが心強いです!
結論からいうと電話でも『消滅時効の援用』は可能ですが、お勧めはしません。
なるべく時効の援用の意思を伝えるのは文書のほうがいいでしょう。なぜならば電話でのやりとりだと貸金業者の言葉巧みによる誘導で自らの債務を承認してしまう可能性があるからです。
債務の承認について
消滅時効の援用をするにあたって注意が必要なのは、『時効の中断』です。 『時効の中断』が成立してしまったら、今まで何年も築き上げてきた時効がすべて無効となってしまいます。
債務の承認は、時効の中断事由のひとつです。
電話で貸金業者と時効の援用のやりとりをするのをお勧めしない理由は貸金業者との電話のやり取り中に、うっかり自分の債務を承認してしまい時効がチャラになる可能性がある為、非常に危険です。
おまけにしっかりと証拠が残るようにあらかじめ電話内容も録音していることもあるので、もしも後から白を切っても言い逃れはできません。
そうなると『消滅時効』は無効になり、債務整理や任意整理などの借金を返済していく方向へ検討せざるおえなくなります。
債務の承認の事例
債務の承認は、単純に自分自身の未払い債務を認めることをいいます。自分の債務を貸金業者の前で認める事で、今までの時効は白紙となってしまいます。
また、分割払いや支払い猶予のある申し入れも債務の承認となります。それはなぜかというと、例えば貸金業者とのやり取り中に
『支払いを分割払いにしてほしい』
『支払いの猶予して欲しい』
等というような申し入れをしてしまうと、自分自身の債務が残っていることを認めたことになってしまいます。
本来、未払いの債務が残っていなかったら、分割払いや支払い猶予の話などはしませんよね。残っていたとしてもその債務は時効を迎えているため、言葉にする必要はありません。
借金の時効が成立して、あなたに消滅時効の援用をする意思を持っているのならば、貸金業者の口車には決して乗らず『債務は残っていない』という気持ちで毅然と対応するべきです。
『消滅時効の援用』には内容証明郵便を。
『消滅時効の援用』の意思をリスクが少ない方法できちんと貸金業者に伝えるには冒頭でも書いた通り、電話でのやり取りよりも文書(時効援用通知書といいます)で伝えたほうが安全です。 文書ならば最小限の接触に抑えられますし、直接貸金業者と話して『消滅時効の援用』の意思を伝える必要もありません。
そして時効援用通知書を送る際には、普通の郵便を使って送るよりも、より記録が残る内容証明郵便を利用しましょう。
内容証明郵便は、送った内容や人、誰が誰にいつ送ったかを郵便局が証明してくれる、通常の郵便とは違います。 通常の郵便で時効援用通知書を送ることも可能ですが、もしも何か事故があって配達されなかったり、通常の郵便でいつ誰がどういった内容を送ったかという事も証明してくれないため、不安が残ります。
もし通常郵便で『時効援用通知書』を送ったとして、貸金業者に届いていたとしても通常郵便だと『時効援用通知書はこちらには届いていない』と白を切ることができる可能性もあるわけです。 しかし、内容証明郵便を利用すればそういった事態は免れることが出来るため、確実に『時効援用通知書』を送付できることが出来ます。
それでも不安だったり、時効援用通知書の書き方などがわからない、個人で『消滅時効の援用』をするのは難しいという方は、弁護士や司法書士などの専門家に相談すると安心して進められると思います。
特に『消滅時効の援用』自体が失敗すると貸金業者から遅延損害金を請求される恐れもあります。
そのような事態を避けたいという方は専門家に相談・依頼することをお勧めします。