近年、奨学金の返済を滞納する事例が増えています。

日本学生支援機構の調査によると、奨学金を利用している大学生(4年生昼間部)の割合は50%以上を超えるという結果が明らかになっています。

現在、日本の奨学金制度には、「給付型」と「貸与型」の2種類がありますが、90%の学生は「貸与型」を利用していると言われています。

給付型奨学金の場合は返済義務はありませんが、貸与型奨学金を利用した場合は、大学卒業後に返済をしなければいけません。


3ヶ月以上滞納するとブラックリストに

この返済義務を怠り、滞納を続けている場合は注意が必要です。

具体的には、奨学金の滞納が3ヶ月以上続いた場合は、事故情報として個人信用情報機関(全銀協:JBA)に「異動」情報として登録(いわゆるブラックリスト)されることになります。

信用情報機関に事故情報として登録されてしまうと、消費者金融や金融機関などの金融事故と同様に、クレジットカードの使用停止やクレジットカードの契約、車のローン、住宅ローンなどを組むことが出来なくなるという弊害が生じます。

近年は、奨学金の滞納により、督促状が届くというケースが増加しているようです。

督促状や電話は、日本学生支援機構から直接来る場合もありますが、代位弁済請求により保証機構から来ることもあります。

また、長期間滞納を続けている場合は、裁判所から仮執行書付きの支払督促が届くことがあります。

この書面を無視し続けていると、最悪の場合、差し押さえの対象となるため注意が必要です。

通常、このような通知が来た場合は、無視をするのは禁物です。まずは、日本学生支援機構に連絡をとる必要があります。

ただし、消滅時効期間が成立しているケースがあるため、連絡については慎重を期すようにしましょう。

督促状が届いたり、電話での請求に不安を感じた場合は、いち早く時効制度に詳しい専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることがベストであると言えます。


奨学金の消滅時効期間は10年

奨学金は、民法の一般債権という扱いとなり、10年間行使していなければ、消滅することになります(民法167条)。

そのため、最終支払い日から10年以上経過していれば、内容証明郵便を使用して消滅時効の援用を行うことで返済義務はなくなります。

しかしながら、奨学金は保証人や連帯保証人などの関係者が複数存在するため、複雑になるケースも多々あります。

奨学金の時効に関して少しでも疑問がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。